自律訓練法(自己催眠)
自律訓練法(自己催眠法)とは
普段、自分の意志ではコントロールできない脈拍・体温・血圧・発汗など自律神経によって支配されているものを、腕や足などからだのある部分に対して、「温かい」「重い」などの特定の感覚を自己暗示的に意識しながら集中させることによって心身の緩みを図り、心身の疲労を緩和します。
ストレスなどが原因で自律神経のバランスを崩しているような場合にも自律訓練法を行うことで、バランスを整えます。
自己催眠の方法ですので、催眠療法と同じように暗示文の使用が可能です。
自律訓練法のあとに性格や行動の改善、学習効果の向上、集中力アップなどの暗示文やイメージを取り入れることで、活用の幅が広がります。
自律訓練法の効果
- 神経のバランスを整える
- 蓄積された疲労の回復
- イライラせず穏やかになる
- 自己統制力が増し、衝動的行動が少なくなる
- 仕事や勉強の能率が上がるようになる
- 体の疲れや痛み、心理的苦痛が緩和される
- 内省力がつき自己向上性が増す
自律訓練法には標準練習と特殊練習がありますが、基本は標準練習です。
標準練習は次の6つの公式で成り立っています。
①腕と足の重感(両腕と両足が重たい)
②腕と足の温感(両腕と両足が温かい)
③心臓の調整(心臓が静かに規則正しく打っている)
④呼吸の調整(楽に息をしている)
⑤腹部の温感(胃が温かい)
⑥額の涼感(額が涼しい)
自律訓練法(自己催眠)の習得のためには、実際に体感することが近道と考えております。
エムアンドアイカウンセリングルームでは、自律訓練法の習得のためのご利用も可能です。
自律神経の働きと呼吸
自律神経はおおまかに2種類に分けられています
一つは「交感神経」、もうひとつは「副交感神経」です。
交感神経はいわば“昼間の神経”
意識を持って活動しているやとき、緊張しているときに働いているものです。
副交感神経はいわば“休息の神経”
リラックスしている状態では、副交感神経が活躍します。
脳の疲労回復をはかるにも、この副交感神経の働きによってなされます。
私たちの身体は本来、交感神経が興奮しすぎると副交感神経が静めようと働きかけるようにできています。
例えば、「自律神経失調症」というのは過剰なストレスなどで緊張しすぎた交感神経を副交感神経が静めることが出来ずに交感神経が休まらなくなる、神経とからだのバランスが崩れる悪循環な状態のことです。
交感神経が活発になると同時に私達の脳からはアドレナリンというホルモンが分泌され、からだを興奮させます。
そして副交感神経が、鎮静効果のあるエンドルフィン(脳内麻薬様物質)というホルモンを出す信号をからだに送り元の状態に戻します。
また、呼吸運動は自律神経に作用されています。
交感神経の刺激では呼吸が浅くはやく、副交感神経では呼吸がゆっくり深くなることがしられています。
深い呼吸をすると副交感神経に作用し、神経が落ち着くという相互作用があります。深く息を吐くことで、副交感神経が優位になり、心とからだの緊張が自然に解けていくのです。
この呼吸がもたらす作用を使い、自律訓練法や催眠療法、リラクセーションを行っていきます。
すぐできる自律訓練法
【今すぐ自律訓練法をやってみる】
準備と心構え
<場所>
最初は、なるべく落ち着ける快適な場所で、行ないましょう。
少し暗めのほうがいいですが、あまり気にすることはありません。
慣れてくれば、電車の中、職場などどこででも出来るようになります。
<服装>
ラフな服装で、上着などは脱ぎます。締め付けているものは取り除きましょう。(時計やベルト、指輪など。それ以外に気になるものがあれば、最初ははずしたほうがいいでしょう。慣れてくれば、あまり気にならなくなります。
<姿勢>
座って行なうときは、ゆったりとした椅子で、背もたれがあるほうが望ましいです。椅子の高さは、足の裏が床につくように調整しましょう。手は脇に垂らすか、ひざの上にかるくのせます。
寝て行うときは、仰向けで、軽く大の字の姿勢がよいでしょう。
最初は寝て行なうほうが体感しやすいですが、慣れてくればどこでも出来るようになります。
<心構え>
身体の各部分に集中していきますが、「何が何でも感じなければ」と思う必要はありません。「なんとなくぼんやり、こんな感じかなー」くらいで十分です。
練習文(利き腕の重い感じ)
ぼんやりと呼吸に注意を向けていきましょう
吐く息とともに、今日一日の疲れが、はーと出ていく
吸う息とともに、新鮮な空気がすーと入ってくる
吐く息とともに、お腹をペッタンコにしぼませて、一滴残らず吐き出します
吸う息とともに、お腹を風船のように膨らませて、空気を入れていきます
ゆったりとした腹式呼吸を10回くらい続けましょう
ぼんやりと右手(利き手)に注意を向けていきましょう
形や大きさではなく、いま感じている感覚に注意を向けていきます
手のひらが膨らむような、
血管が脈打つような
ジンジンするような、
だるいような、
おもいような・・・
どんな感覚でもいいのです。感じている感覚に注意を向けていきましょう
その感覚を腕全体に広げていきます
あるがまま、なるがまま感じていきましょう
肩から重い鉛の袋がぶらさがっているのを想像してみましょう
これから「おもーい」と心の中で言うと右手が気持ちよく重くなっていきます
ゆっくりと「おもーい」を心の中で10回繰り返します
繰り返しながら、右手がだんだんと重くなっていくことをイメージします
気持ちよく重くなってきます
今とてもリラックスしていい気持ち。
この気持ちのいい感覚を十分に味わいましょう。
※左手→両手→右足→左足→両足→両手両足の順で上記のように続けますが、
右手だけでも重さが感じたらまずはOKです。
リラクセーションのすすめ
心が固まっているように感じたら、身体も固まってしまいます。
心と身体は表裏一体なのです。
原因はストレス・不安・緊張・怒りなど心から発生したものであっても、身体がだるい・肩こり・首の痛み・胃痛・下痢・便秘などさまざまな身体症状として現れることがあります。
また、逆に身体に何か症状が現れると、気持ちも沈みこんでくるという経験もあるでしょう。
原因を解決することが一番有効なのかもしれませんが、「心と身体は表裏一体」ということを考えると、身体をリラックスさせてあげれば、心にも柔軟性が出てきて、心の治癒能力も高まっていくと考えられます。
さて、リラックスするためには、何をすればよいのでしょうか?
呼吸法、自律訓練法(自己催眠)、催眠療法、イメージ法、瞑想、ストレッチ、ヨガ、好きな香りを嗅ぐ(アロマなど)、お散歩、お風呂に入る・・・いろいろな方法がありますね。
普段から、ご自分でできるリラックス方法を見つけて、心と身体のバランスを整えましょう。
リラクセーションワークは、催眠療法、自律訓練法などの導入部分でも用いておりますが、リラクセーションだけでも心と身体を解きほぐす効果があります。
エムアンドアイカウンセリングルームでは、ご本人に合ったオリジナルなリラクセーションをご提供しております。
困っていること、悩んでいることはあるのだけれど、内容を話すのは少しためらってしまう。
または、カウンセリングを受けるまえにとりあえず少しでも楽になりたい。このようなときにもリラクセーションワークは役に立つと思われます。
もちろん、カウンセリングを受けながら、リラクセーションワークを併行することもできます。